シネマネー(独断と偏見による映画レビュー)

好き勝手に記事を書いてます!

ラストナイト・イン・ソーホーのレビュー


「ショーンオブザデッド」「タクシードライバー」のエドガー・ライト監督最新作

ラストナイト・イン・ソーホーをDVDで鑑賞。

 

エドガー・ライト監督は個人的に大好きで特に「ホットファズ」が一番好きです。

(ユーモアのセンス抜群だし、高速カット割りはすごく癖になります)

 

しかしDVDのパッケージを見ただけではエドガー・ライトが監督しているとはまったく思ってなくて、見る前に調べてわかりました。

 

個人的にエドガー・ライトは男目線の映画を作る監督だと思っていたので

(男くさいというよりは、ちょっと中学生・高校生男子のノリ要素が多い映画という印象)

まさか女性が主役の女性目線の映画をつくるなんて…

どうなのかなーなんて思いながら鑑賞。

 

結論からいえば「すごく面白かったです!」

 

感想を簡単に書くならばとにかく【かわいい!】【オシャレ!】

バカっぽい文章になりますが、初めにこの感想がきます。

そこにホラーとミステリーの要素も組み合わさって、ずっと飽きずに楽しく鑑賞することができました。

 

田舎町から上京しデザイン専門学校に入学したエロイーズ。

都会で同じ学校の学生たちとの寮での共同生活に戸惑い、人間関係に悩んでいた彼女は

思い切って一人暮らしを始める。

 

古い一軒家の2階の部屋に住み始めると毎夜、60年代のロンドンでおそらく、以前この部屋に住んでいたであろう歌手を夢見る女性、サンディの夢を見る事になる。

元々、60年代のオールドカルチャーに興味を持っていたエロイーズは、夢の中のサンディのストーリーに興味を持ち、髪型をサンディと同じブロンドにするなど徐々に現実世界でも影響を受け始める。

しかしある日、夢の中でサンディが殺されてしまうところを目撃してしまう……

 

エロイーズが夢を見始めたところから急速に話しが転がり始めます。

前半はとにかく【かわいい!】【オシャレ!】

煌びやかな60年代ロンドンの街並みがゴージャス。

当時の流行りの音楽も劇中で流し、世代的に知らない音楽ですが、自然と体が乗ってしまいます。

 

夢の中に入り込む瞬間や覚める瞬間、エロイーズとサンディがシンクロする場面などの演出がすごくオシャレ!

 

なんといっても主演の二人「アニヤ・テイラー=ジョイ」、「トーマシン・マッケンジー」。

この二人が可愛くて美人ですごく画力があります。

この2人の女優をキャスティングできたことが一番の勝因だったと思います。

 

そして後半は当時のイギリスの芸能界の闇の部分などにも触れ、ホラーとミステリー要素が強まってきます。

(この緩急が絶妙で最高でした)

 

ここでいうホラー要素が心霊的なものではなく、女性が怖いと感じるものを描いていました。

・初めての都会での一人暮らしに対する恐怖

・男性に食い物にされてしまう性的な恐怖

 

私は男性ですが、それでも映画を見ていて、お腹が出ている中年男が迫る様子などはすごく嫌悪感と不快感があったので女性であれば、なおさらと感じました。

 

どちらかというとイケていない男性目線で描く作品が多かったエドガー・ライト

ここまで女性目線で作品を作ったのにはすごく驚きました。

 

そして最後にはどんでん返しがあり、ミステリーの要素もバッチリ!

 

終始、いろんな視点で楽しませてくれたエンタメ作品だと思います。

すごくおススメです。

 

 

 

 

 

死刑にいたる病のレビュー

公開からだいぶ経ちますが、日本映画「死刑にいたる病」を鑑賞してきました。

阿部サダヲさんの怪演がすごいと話題の今作品。

また、「凶悪」「孤狼の血」「日本で一番悪いやつら」などのヒット作を制作した

白石和彌監督という事で期待して見に行きました。

 

 

鑑賞した感想は「正直微妙だな~」と感じました。

期待が大きかったのもあると思いますが、中盤以降退屈なシーンが多かった気がします。

 

阿部サダヲさん演じる連続殺人鬼、捧村が犯行当時に営んでいたパン屋に常連客として通っていた、岡田健史演じる大学生雅也に手紙を出し、24件の殺人のうち1件は自分の犯行ではないと告白し、それを立証してほしいと依頼するところからストーリーが展開されていきます。

 

当時の捧村のパン屋の立ち振る舞いは人当たりが良く、地元の学生や近隣の住人からも愛されていた。

しかし裏では自身の好みの大人しくて賢そうな、優等生タイプの中高生を自宅に招いて拷問したのち殺害していた。

 

冒頭で捧村の2面性をしっかりと描き「24人も殺害した連続殺人鬼」という人物像を決して記号的ではなく、説得力を持たせる。

 

拷問シーンをしっかりと躊躇なく演出した白石監督。

また、一見人当たりのよさそうな人物なのに裏ではとてつもない本性を隠しもっている人物を演じた阿部サダヲさん。

さすがといったところで、作品にグイグイ引き込まれます。

 

しかし、そこからの展開は個人的にはやや退屈に感じました。

依頼を受けた大学生雅也が真相を追っていく中、次々と事実が浮き彫りになっていくのですが、そのどれもがパンチ力がなくしょぼい。

 

顔に傷がある今作品のキーパーソンを演じる岩田さんはイケメンすぎて、このキャスティングには合っていない。

岩田さんだけ作中でどこか浮いている印象を受けて、せっかく作品にのめりこんでいたのに、そこがノイズになってスーと冷めていきます。

 

また、事件を追っていく過程で雅也が危険な目に合うなどして、ドキドキするアクションシーンがあれば良いのですが、淡々と事件を追っていくので映画として中盤以降は非常に退屈な画が続きます。

そこに「おっ!」と思えるような新事実があれば前のめりにもなるのですが、それがないので観客としては結末まで非常に長い待ちの状態が続きます。

またそもそもですが、冒頭で捧村の残虐な拷問シーンを見ているため、「別に24件の殺害の内、1件がこいつの犯行だろうが、犯行じゃなかろうがどっちでも良いわ!」っていう気持ちがあって途中から真実はどうでも良くなってきます。

 

ラストでおそらくはどんでん返しの部類に入るであろう結末を迎えるのですが、とてもスケールの小さいものように感じました。

(ちゃぶ台ひっくり返すほどではなく、横に置いていたコーヒーカップを倒したぐらいのものかなという印象)

 

個人的な感想ですが、映画的には最後にはこのような凶悪な存在が映画的にはある一定の罰を受けなくては駄目だと考えております。

どんなに魅力的に描かれていたキャラクターだとしても、分かりやすい勧善懲悪とまではいかなくとも、必ず最後には一矢報いることで悪に対してこの行為はいけないことなんだよというメッセージ性を込めるのが映画だと思っていますが、この犯人はすでに死刑宣告をうけており、意に介しておりません。

罰は受けているのですが、作品の過程で相対する登場人物たちの手によってのものではないので釈然とせず、しこりが残ります。

 

原作を読んでいないのですが、原作はおそらく小説で読むほうが面白い作風になっており、映画向きではないのかなと感じました。

文章により凶悪な殺人鬼の内面を描き、その人物像を読者の頭の中に具現化していく事が小説では可能ですが、映画にすると説明くさくなってしまい、画的にも退屈なものが多くなってしまいます。

映画向きではない原作を阿部サダヲさんの演技力と白石監督の演出で一定のクオリティーを保った作品にはなったかと思いますが、正直期待しすぎた分微妙でした。

 

評価としては新作DVDになってから見るのが良いかなという感想です

 

阿部サダヲさんの怪演により、魅力あるキャラクターとなっている捧村だけでも見ごたえのある作品になっているかと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

名探偵コナン ハロウィンの花嫁についてのレビュー


名探偵コナンの最新作映画「ハロウィンの花嫁」を見てきました。

私自身、コナンの映画シリーズのファンで、毎年欠かさず映画館で鑑賞しています。

 

今回の最新作についての率直な感想についてですが……

まあまあ面白かったかなといった感想です。

 

コナンの映画シリーズのファンと宣言しましたが、今回の作品はあまり期待せずに鑑賞したというのも大きかったと思います。

 

というのも、最近のコナン映画は作中のミステリー要素というよりも

キャラクター描写に重きを置いている気がして、ストーリーそのものは大した作りにはなっていないようのが多かったような気がしていました。

※アクションシーンばかりになっているという声もありますが、そこは個人的に全然ありです。むしろ最後のアクションシーンを楽しみにしています。

 

今回の最新作も原作で脇役の高木刑事と佐藤刑事にスポットを当て、なおかつ人気キャラ安室透と警察学校同期キャラの見せ場が多いと聞いていたので、腐女子に媚びた展開になるのかなと予想しておりました。

 

しかし、ファーストシークエンスで脱獄犯を追う安室透。

脱獄犯の首に付けられていた爆弾が爆発し、爆風に巻き込まれ負傷する安室の部下。その部下を救助するため、身動きが取れない安室に同じ爆弾型首輪をつける爆弾魔。

そしてその場を立ち去り、爆弾魔の容姿が映し出される。

フードを被り髑髏のお面をしている。

そこからお決まりのタイトルコールと音楽。

「おれは高校生探偵~工藤……

 

面白そうだ!!と心を掴まれます。

 

毎度の事ながら、タイトルコールはコナン映画の見所のひとつ。

一気に引き込まれます。

 

今作はミステリー要素は少なめで、テンポが速いクライムサスペンス調に作られていたと思います。

 

世界各地で暗躍する爆弾魔という事で、犯人の風貌や逃亡する際の動きなど説得力があり、登場人物の中の誰が犯人なのかを推理する楽しみよりも、手強い犯人を相手にどうやって逮捕するのかといったところを楽しむ作品になっていたと思います。

 

ただし、やはり最近のコナン映画の傾向で、キャラクター描写に力を入れることに重きを置いている為、いろいろと中途半端というかスケール感が小さくなった感は否めないのかなとも思いました。

 

世界的に暗躍する爆弾魔。

コナン映画史上でも大物な悪人ですが、それを無理くり高木・佐藤のカップルと安室透の警察同期との因縁をつけてしまった為、犯人の肩書に対して行動範囲や犯行規模が狭く、齟齬が生じていたというか不釣り合いな気がしました。

 

高木・佐藤を映画の主役にすると観客動員数に不安があったのか、そこに最近原作で人気が出てきた、安室警察同期メンバーを絡めスポットを当てるキャラクターが多くなってしまった為、事件そのものが、ちぐはぐになってしまった印象を受けました。

公安の安室を引っ張ってくるならテロ関連・スケールの大きい案件を持ってこないといけなくなってしまい、そこに佐藤・高木の一般刑事を絡めなくてはいけないので、どうしても相対する犯人の行動はチグハグになってしまいます。

最近のコナン映画は企画有りきで、その後ストーリーを考えている印象。

そろそろ初期の頃のような、緻密なミステリー要素を楽しめる映画を作ってほしいと感じました。

 

とは言え、今作も結構楽しめました。

4段階評価でいうと

【新作DVDで借りる映画】

個人的にコナン映画が大好きだからこそ、苦言を呈してしまいますが、普通に楽しめる映画だと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

映画 ベルファストについてのレビュー


映画ベルファストを見てきました。

 

俳優としても活躍する、ケネス・ブラナーが監督・脚本を務めた作品。

最近で言えば、「オリエント急行殺人事件」や「ナイル川殺人事件」で

監督・脚本・主演を務めた事も記憶に新しいですね。

 

北アイルランドベルファスト出身のケネス・ブラナー

幼少期に過ごした自身の体験を元に脚本を書いた自伝的作品。

 

見た感想は……とても面白かったです。

すごくノスタルジックな気分になり、鑑賞後は温かい気持ちになれます。

 

ジャンルは全然違うのですが

どこかニューシネマパラダイスを思い出させるような作品でした。

 

まず、冒頭に現在のベルファストの街並みが映像として映し出されます。

その後、画面がモノクロに替わり、場面が幼少期のケネス・ブラナーが過ごした

当時のベルファストへと移り変わります。

 

街で元気に仲良く遊ぶ子供たちや、すれ違う人すべてに挨拶を交わす大人たちなど

住む人々皆が顔見知りでアットホームですごく活気がある街で、ノスタルジックな世界観が表現されています。

この場面を美化しすぎていて、行き交う人すべてが綺麗にが画角に収まりすぎているとの声もあるそうですが、個人的にはあくまでケネス・ブラナーの幼少期の良い思い出を映像化している映画なので、思い出補正・美化された記憶として、そこも表現しているのではないかと思うので、全然ありだと思います。

 

日本映画でも舞台が昭和になると、皆が優しく温かい人として描かれるのに近い表現かもしれません。

 

そこからまたうってかわって、子供たちが遊んでいた路地に暴徒が大勢現れます。

この時代の北アイルランドの宗教間の戦争が描かれだします。

 

このまま、日常を破壊された家族、北アイルランドの闘争の激化などが描かれていくのかと予想したのですが、まったくそんな事はなく。

 

最初の暴動が終わったあとは、主人公の少年が(ケネス・ブラナーの子供時代)

どうやったら好きな子を振り向かせられるかや、映画を見ることに没頭するなど、

ベルファストで過ごした小さな日常、楽しかった思い出などを中心に物語は展開する事で、アイルランド紛争へのアンチテーゼとして、どうでも良い事として描いたのではないかと思いました。

 

ただ、楽しかった思い出だけではなく。

生まれ住んだ土地から離れなくてはならない雰囲気、父と母の喧嘩、祖父との別れなど

誰しもが一つは体験した事のある、葛藤や苦悩なども描かれており

自身の幼少期を思い出し、照らし合わせ、共感できる映画だったと思います。

 

とても心地の良い映画体験でした。

 

最後に…

主演の子役の子の演技が最高でした!!

 

 

 

 

 

 

邦画 ノイズについてのレビュー(ネタばれ有り)

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初めてブログを開設しました。

こちらのはてなブログさんで映画レビューブログを書いていきたいと考えております。 私の独断と偏見で好き勝手に書きます。

レビューを書いた映画をすでに見た方は少しでも共感して頂ければ嬉しいです。

まだ映画を見ていない方は参考にして頂ければ幸いです。

不快に思われた方は申し訳ございません。 先に謝っておきます。

 

このブログでは映画について私個人的な段階評価を付けていきたいと思います。

 

4段階評価にします。

・映画館で見るべき映画

・新作DVDになってからで良い映画

・旧作DVDで暇な時に見るぐらいの映画

・旧作DVDになっても別に見なくていい映画

 

では、今回は邦画【ノイズ】をレビューしていきます。

1月28日に公開が開始され主演は藤原竜也松山ケンイチ

その他、神木隆之介永瀬正敏など豪華キャスト出演のクライムサスペンス。

 

公開から少し時間をおいて、2月10日仕事終わりにナイター上映を見てきました。

漫画原作という事ですが、原作未読で見ました。

 

映画についてですが、結論から申しますと…

1~2年も経てば、すぐに忘れられるような

量産型くそ映画でした。

 

とにかくつまんない見どころがない豪華キャストの無駄遣い

なにを楽しめば良いのかまったくわかりませんでした。

邦画の悪い部分がふんだんに盛り込まれていました。

 

では実際に私がこの映画がダメだなと思ったところをまずは箇条書きで記載していきます。

①クライムサスペンスなのに犯人側(藤原竜也側)にまったく緊張感がない。

②風貌だけ優秀で中身は無能な刑事

③安易なサイコパス描写で観客側はすごい冷める。

④とにかく丁寧な説明描写は観客側を舐めている。

 

まずから

冒頭、藤原竜也が島の名産品としてイチジク栽培を行い、メディアにも取り上げられ

島全体の復興・活性化に向けて島民たちに希望の兆しが見えていた。

そこにノイズ、元受刑者が島に来て、藤原竜也たちの日常を脅かす。

口論の末、勢い余って元受刑者を殺してしまう、藤原竜也

そこに居合わせた幼馴染の松山ケンイチ、島出身で新人駐在の神木龍之介。

復興に向け順調に歩みだしている島の名誉を考え、死体を隠し、殺人を隠蔽することになる。

 

ここまでは分かる!!

 

正当防衛として処理すれば良いではないかとの意見もあるかと思いますが

島おこしの目玉となるイチジク。

その農園で人が死んでしまった事が発覚すれば、この計画が頓挫してしまいます。

その為、島を守るために隠蔽することにする。

冷静ではないのかもしれないが、その判断に至るその気持ちはまだ、少し共感できる気がする。

 

しかし、その後。

新人駐在神木隆之介の歓迎会が行われ、3人とも呑気に出席。

死体はとりあえず大型冷蔵庫に隠したまま…

 

まあ、まだほぼ主賓が出席しないとなると、後で怪しまれる可能性もあるし

出席するまではまだ許せる!

 

そして歓迎会が終わって…

子供と帰り道でかけっこしてその夜が終わり。

次の日へ…

 

おい!!!

歓迎会終わったらすぐに3人で集まって死体処理しろよ……

 

案の定、次の日にはなんやかんやで本庁の刑事が元受刑者を探しに島に来ます。

(なんやかんやは割愛します)

 

まずもって犯人側3人に緊張感がない。

 

クライムサスペンスって追う側と追われる側の駆け引きだったり、捕まる捕まらないの緊張感を楽しむものだと思うのだが…

 

特に今回は主人公が追われる側なのだから、観客に対しては、「この人たちは捕まってほしくない、犯罪は犯したけど頑張れ!」

と感情移入させないとダメなのに

 

なんか島の為に!家族の為に!

この死体は見つかってはいけない!

って言うわりには行動が伴っていないような気がする。

観客からすれば、こんな奴ら捕まって当然だろ!って思ってしまう。

 

これは映画の構成がまず下手だと思います。

元受刑者が現れて、殺してしまう。

タイトルバック【ノイズ】

でこれからどうなるのだろうかとワクワクしている所に歓迎会。

 

歓迎会に仕方なく出席するにしても、落ち着かない様子とかはあんまり感じられないし(犯罪者とはいえ、人を殺しているのだから、もっと動揺してたり、動揺を隠そうとしてたりする様子を見せてほしい)

 

呑気に今後の島の発展に浮かれやがって、その後、子供とかけっこしだすし

 

冒頭で見る気になったのに、わざわざトーンダウンさせて、観客をスーと物語から引き離す。(原作漫画でそうなってたのかもしれませんが)

 

例え、原作でそうだとしても映画の構成としては逆だろ!

 

主人公たちの現状、島が置かれている状況(過疎化、イチジク産業)などを簡潔に表現して説明。

その後歓迎会でさらに登場人物たちの思いを表現。

このイチジクで島おこしを実現して、島の皆に恩返しをしたいんだと

 

その後、その希望を打ち砕く存在【ノイズ】が現れてしまう。

 

希望

絶望

 

そこからノンストップ、クライムサスペンス。

の方が絶対自然だし、盛り上がると思います。

とにかく構成が下手くそです。

 

なのでもう一つ引っかかった件

元受刑者が、島に連れてきてくれた保護司を殺害し

その後、畑に車が突っ込んで停車しているのに一日中放置され

次の日に見つかった件。

 

いくら田舎とはいえそんな事ないだろう!と思っていたので…

 

例えば、どうしても歓迎会入れたいなら(不要だと思いますが)

歓迎会 → 次の日保護司と受刑者が島に来る → 保護司殺害される

→車が見つかり死体が見つかり通報される→神木駐在本土に連絡する。

→受刑者と藤原竜也対峙する→殺してしまう→事前に通報を受けていた本土の刑事が島

に着く→急ぎで死体を隠蔽する

 

の方がドキドキすると思うし自然な流れだと思います。

 

他にも簡潔に緊張感がない主人公たちの行動。

 

〇捜査会議の様子を出席した神木のスマフォでスピーカーで情報共有。

 それをイヤホンも使わず、トラックの運転席で窓を開けて視聴。

 農園には自分たち以外だれも来ないと思っているんだろうけど

 もしも誰かに聞かれたらどうすんだ!

 慎重さが足りない。

 

〇島の長老的ポジションの人にすぐに死体を匿っている事がばれる。

 そんなすぐばれんなよ!

 

〇うっかり神木が「死体」が見つかりませんねなどの発言をする。

 まだ元受刑者は生きている可能性もあるのに、しかも誘導尋問でもなんでもなく

 自分からいらん事口走る。

 

〇死体を結局最後まで上手い事処理できず。

 本気なら松山ケンイチは猟師なんだから、バラバラにでもなんでもして

 処理せろよと思う。

 

また、緊張感のない犯罪者側と呼応するかのように

②の風貌だけ優秀な刑事永瀬正敏の登場。

 

早い段階で藤原竜也がこの事件に関与していると見抜く永瀬…

 

優秀じゃないですかー!

 

なら、なぜ藤原竜也たちを尾行しないの!

 

永瀬に怪しまれてからも藤原竜也たち3人は昼夜を問わず

隠蔽会議。隠蔽工作を進めます。

それも前述のようなしばし、緊張感・慎重さに欠ける行動で…

 

ほんの少しでも行動を部下に見張らせるなどの行動があっても良いのでは?

 

そのマークされている中での犯人側の捜査のかわし方、刑事側の緻密な捜査

クライムサスペンスの見どころなんじゃないの?

刑事側はゆるゆるだし、犯人側はやりたい放題。

 

これじゃハラハラするわけがない。

どこを見どころとしてこの映画を楽しめば良いかが、制作側は何を見せたいのかが

まったくわからない。

 

そして極めつけは、島民のある言動で永瀬刑事が死体の隠し場所がわかり、その現場に向かう。

まあ、その場面も別にすごいトリックや伏線があるわけでもなく…

ただ単に島民のうっかり発言。

白ける…

 

そして、現場に向かう前に永瀬刑事は神木駐在に

「今から死体の隠し場所に向かう!お前も来い!すべて知っているんだろ!」

的な電話をする。

 

…なぜ?

 

事件に関わっている神木駐在が仲間の藤原竜也松山ケンイチに連絡するかもとは

なぜ考えない?

 

でも、一応敏腕刑事風に描かれているから、何かしら作戦があるのか…?

 

死体が隠されていた大型冷蔵庫にたどり着く永瀬。

死体がない!

驚く永瀬刑事……

 

そりゃそうだろ!!

 

結果として、別に神木駐在から伝達があったわけではないが、犯人グループが

たまたま死体隠し場所を移していたのだが、重要なのはそこではなくて

 

永瀬刑事、あんた何が目的で神木駐在に電話したの…

死体隠し場所がわかったなら、こっそり捜査すればいいじゃん…

なんの作戦もなかったのね

結果、死体がなくてあの渋い色気のある顔で驚く永瀬刑事、これじゃギャグだよ…

 

永瀬正敏さんはカッコよくて渋い俳優さんで、永瀬さんが悪いわけでは決してない!

のですが、このくそ脚本とくそ演出のせいで

永瀬さんの渋さや色気が逆にミスマッチというか、滑稽に描かれてしまうというか…

永瀬さんが可哀想だよ!

 

ガム噛んで、リーゼントで、一匹狼的な風貌だしといて…

それで大した捜査能力、推理力ないんかい!!

コントのキャラクターみたいで笑える。

 

あとは③の安易なサイコパス描写。

これは後程④にも繋がるのですが、まずは島の町長「余貴美子

島の復興に尽力し、なんとしてもイチジク産業で国の補助金を引っ張ってきたい

それで疲弊してしまい、心が病んでいる様子。

そして、刑事側より先に藤原竜也たちが死体を匿っていることに気付き

3人の中で、一番存在価値がある藤原竜也を犯罪者にするわけにはいかないので

松山ケンイチ、もしくは神木隆之介に自主するように指示をする…

 

まあ、理解できる。

 

人間としてどうなのという部分はあるが

利己的に考えれば、まあ分らんでもない理屈。

ただ、その時の余貴美子立ち振る舞いが良くわからん

 

唐突に歌いだして、陽気な様子で3人にその指示を出すのだが

ここは別に町長が島の復興活動に疲弊して、ちょっとおかしくなってる描写いらなくない?

 

ここはシリアスなトーンで3人に指示を出す町長の方が、冷酷さが表現出来て

場面がピリッと引き締まるんじゃないかなぁ?

または過疎化した田舎での上辺だけの繋がり。

実は利己的な集団だということを表現するなら

(これがもう一つのテーマだったはず)

ここはしっかりと表現する場面だろう、逃しちゃだめだろうと思いました。

 

なんか、日本映画って安易にサイコパスな人物を出したがるけど

(または役者の演技力を無理やり際立たせようとする)

そんなのこの場面ではいらないよ?

 

なんか、陽気に振る舞う余貴美子の様子が浮足立って、この場面に全然合わないし

これまた緊張感を逃してるんだけど…

その後、玄関を出ると長老的ポジションの柄本明にナタでいきなり殺されるし…

(この場面は最高でした!!すっんごいシュールなコントです)

それも共感できないですしねー

そんなバカバカ殺すなよ…とは思います。

 

そしてもう一人、松山ケンイチ

これは④にも繋がるのですが、この映画は結論からいうと

藤原竜也は捕まります。

 

親友である松山ケンイチが死体が埋められている場所を、町長の携帯を使って島民に

一斉メール送信。

警察が死体が埋められているイチジク農園を捜査し、死体が見つかり

藤原竜也が逮捕となります。

(それもなんだかなーって感じです。)

 

なぜ、親友の松山ケンイチがそのような行為に及んだかというと

藤原竜也の妻、黒木華に恋心を抱いており

嫉妬心からそのような行為に及んでしまったとの事。

(物語の登場人物は永瀬刑事だけがその事に気付いています)

 

藤原竜也が捕まった後、松山ケンイチの部屋が映し出されます。

するとそこには部屋の壁いっぱいに、黒木華の写真がいくつも貼られていました。

 

え……って感じです。

 

また安易にサイコパス表現に走りましたね。

 

だいたい、そんな部屋いっぱいに写真貼るようなやつなんて

そんなすごいストーカーが、今までなんの行動もしないわけがないでしょ。

じゃあ、松山ケンイチがなにをしたかというと、イチジク農園に死体を隠すように藤原竜也を誘導して、元受刑者の履歴書の封筒を藤原竜也の家の前に落として、刑事に見つかるようにして、町長の携帯で一斉メールして死体の隠し場所をばらす。

 

うーん、なんかしょぼくね?

 

描写と実行した行動のスケール感が合ってないような気がします。

 

むしろ嫉妬で藤原竜也を憎んでいるはずなのに、今回の一件が起こるまでなんの行動もせず、農園を手伝い、娘の面倒も一緒に見てやってたり、ただのいい人じゃん。

 

変に狂ったキャラクターを作ろうとしなくて良いのに

むしろ、作品のテイストからいけば、観客がリアルの世界で接するかもしれない

普通な人たち、その人が極限状態になると変わってしまうんだよって表現の方が

普段、観客が過ごしている日常に「ノイズ」が入り込み、平和な日々が脅かされる

そっちの方が怖さが伝わってくるかと思います。

 

とにかく、いらん描写ばかり付け加えて台無しです。

(脚本が悪いのか?原作が悪いのか?演出が悪いのか?)

 

そして最後に④の丁寧すぎる説明描写。

今回の松山ケンイチ藤原竜也をハメた事について

劇中でネタばらしがあった時、おそらく観客のほとんどはこう思ったはず…

 

まあ、そうだよね!

 

だって、くどいくらいに藤原竜也に嫉妬心を抱いている描写をところどころ

盛り込んでくるんだもん…

 

途中、あまりにもあからさまなので「ミスリード」では?と逆に深読みしてしまったくらいです。

 

なぜ日本映画はここまで作品に水を差すようにあからさまに説明描写を放り込んでくるのか?

 

それは結局、観客を舐めているからだと思います。

 

ここまで丁寧に説明しないと観客はわからないだろう!

話を複雑にすると観客がついていけないだろうから、これくらいにしとこう!

とかこの映画を見ていると作り手側の不真面目さがビシビシ伝わってきてとにかく腹立たしくなりました。

 

なんだろう?

邦画の年間上演スケジュールとか、制作ノルマとかあるのだろうか?

(年間~本は作らなくてはいけないとか)

 

そういったノルマとかの穴埋めのためにとりあえず作った感がある。

人気の俳優を配置して、宣伝バンバンやりゃとりあえず売れるだろう!

みたいなのが伝わってくる。

 

また、原作を見ていない身でいうのもなんですが、言いたい事がある。

この「ノイズ」って漫画、売れてんの?

 

こういう小説とか漫画とかを原作にして映画化するのって

ある程度、話題になった作品とか賞を受賞した商品にしてほしい。

だって全3巻の漫画だよ?

長く続けば良いわけでもないけど…

ちょっと連載されてたミステリー漫画でしょ?

まあまあ面白かったとしても

そんなの星の数ほどあるんじゃない?

 

映画の脚本不足でとりあえず、映画にしやすそうだから、やっとくかー感が強い。

 

私がこの映画を見て感じた事は総じて

 

・とりあえず

・こんくらいにしとくか

・これで良いだろ

 

のような作り手たちに一切の情熱を感じることができない

サラリーマン制作陣のノルマ穴埋め量産型くそ映画!でした。

 

4段階評価で言えば

【旧作DVDで暇な時に見るぐらいの映画】となります。

 

新作DVDで借りるのもちょっともったいないくらいの出来でしたねー

 

休日、なにもする事が無くてゆるーく

クライムサスペンスとしてではなく、すごくシュールなコントとして

見れば良いかと思います。